専業主婦を経てSNS運用代行のフリーランスに。自分の「好き」と大切にしたい価値観を、仕事にする選択

フリーランスとして小規模事業者向けのSNS運用代行やマーケティング支援を行う榎本千佳さん。
新卒では銀行に就職し、IT企業での勤務、出産を経て専業主婦に。その後、未経験からSNS運用の世界に飛び込み、現在は地域のママ向けコミュニティの運営にも取り組んでいます。
「キャリアのターニングポイントは、間違いなく出産だった」と語る榎本さんに、フリーランスとして働くと決めた理由、そして今後の展望などを伺いました。

専業主婦を経て、SNS運用代行のフリーランスに
――まずは簡単に自己紹介をお願いします。
30代前半で、神奈川県に住んでいます。年長と年少の娘が2人と、最近は犬が1匹家族に加わりました。
現在はフリーランスとして、SNS運用代行や小規模事業者さんのSNSマーケティングの伴走サポートをしています。今年に入ってからは、住んでいる地域でママ向けの働き方について発信するコミュニティも主催しています。
――ミートキャリアとの関わりについて教えてください。
友人の紹介がきっかけで、今年の10月からInstagramの戦略立案を担当させてもらっています。
ミートキャリアの印象は、一言で言うと「アットホーム」。やはりキャリアに関わる事業をされているからか、みなさん人との関わりを大事にされていますよね。言いたいことはしっかり伝えるけれど、人を傷つける言い方は絶対にしないのが印象的で。まだ関わって数ヶ月ですが、とても居心地が良い職場だなと感じています。
出産をきっかけに、社会との距離を感じた時期もあった
――これまでのキャリアについて教えてください。
新卒では銀行に就職して、窓口業務を約4年間担当していました。結婚を機に退職後、パートとしてIT企業に転職しSNSに携わる仕事を経験。妊娠・出産を経て4年ほど専業主婦として過ごした後、未経験からSNS運用代行のパートに応募しました。そちらで半年ほど働いた後にフリーランスになり、1年ほどです。
――幅広い経験を積んでこられた榎本さん。振り返ってみて「ターニングポイントだった」と感じる瞬間はありますか?
間違いなく出産ですね。専業主婦だったこともあり、社会から完全に切り離されたような感覚があって。自分は今、どう社会に必要とされているのだろう、何ができるのだろうと不安を抱えていました。
そんなときに、夫が「ちょっと外に出てみたら?」と声をかけてくれたんです。その一言に背中を押されて、パートを探してみることに。そこで出会ったのが、未経験から挑戦できるSNS運用代行の仕事でした。
また、そのパート先の企業はママ向けのコミュニティも運営していて、SNSに興味のあるママ向けの講座なども行われていました。私もサポートとしてコミュニティ運営に関わらせてもらうようになり、そこで「私と同じように悩みながら、これからの働き方を模索している人がたくさんいるんだ」と実感したんです。
その経験を通して、SNS運用代行の仕事と、人と人をつなぐコミュニティを掛け合わせた形で仕事ができたら、自分の経験も活かせるのではないか。そんなふうに考えるようになりました。
――専業主婦からパートとして働こうと考えたとき、SNS運用代行を選んだ理由は何だったのでしょうか。
もともと何かを作ることや、デザイン自体は好きだったんです。ただ、美大を出ているわけでもないですし、これを仕事にできるのか、そもそもどんな職種があるのかもわからなくて。「好きだけれど、仕事にするのは無理だろうな」と、どこかで諦めていたんです。
そうした折に、たまたま友人の結婚式のペーパーアイテム制作をお手伝いする機会があって。そこから少しずつココナラでウェディング向けのペーパーアイテム制作を出品するようにもなりました。
そうして実際に制作のお仕事をする中で、銀行員時代には感じたことのなかった「相手の話を聞いて、ニーズをくみ取って、それを形にして届ける」という行為が、純粋にとても楽しいと気づいたんです。「あ、これが私がやりたかったことなんだな」と、はっきり実感しました。
誰かに必要とされているものを作って、提供していきたい。その想いが、SNS運用代行という仕事につながっていきました。
――パートとしてSNS運用代行を続ける、もしくは転職して正社員として働く選択肢もあったのではないかと思います。その中でフリーランスという働き方を選んだのはなぜだったのでしょうか。
子どもたちとの時間を大切にしたいと思ったからです。私自身、小学生のころに学校に行きたくないと感じる時期がありました。もしかしたら今後、娘たちにもそんな瞬間がおとずれるかもしれない。
そのときに、できるだけ娘たちのそばにいられるような働き方をしたいと思って、フリーランスの道を選びました。
仕事が楽しいからこそ、立ち止まる時間を大切に
――フリーランスになって1年が経ち、率直にいかがですか?
良いところも大変なところも、両方あるなと思っています。良い面で言うと、自分で仕事をつくっていける感覚があることですね。
フリーランス同士でつながりたいという思いから、今年に入ってから地域でママ向けのコミュニティを始めました。そこから新しいご縁や仕事につながることもあって、会社員時代にはなかったクリエイティブな感覚があり、やりがいを感じています。
――逆に、大変だと感じることはありますか?
仕事が楽しくて、つい頑張りすぎてしまうところです(笑)。フリーランスは、やろうと思えば全部できてしまう分、自分で自分のキャパシティの管理をきちんとしなければ、ワークライフバランスがすぐに崩れてしまうと痛感しています。
――バランスを保つ工夫があれば教えてください。
趣味をみつけて、仕事から意識的に離れる時間を作るようにしています。今は月に2回、チェロを習っているんですよ。楽譜と向き合っている時間は、仕事のことを考えなくて済むんです。そうして頭を空っぽにする時間があるからこそ、また仕事にも向き合えている気がします。
あとは、定期的にコーチングを受けています。漠然とした悩みやモヤモヤを全部吐き出して、それを客観的に整理してもらえる時間は貴重ですね。
――コーチングを受けるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
実は「今抱えている悩みを解決するためにウェブデザインのスクールに入ろう」と思った時期があったんですよ。そうすれば悩みの答えが見つかるのではないかと思って。でも、そのことをフリーランス仲間にぽろっと話したときに、「その悩みだったら、スクールよりコーチングの方が合ってると思うよ」と言われて。
じゃあ試しに受けてみようとコーチングを受けてみたら、「本当だ!」って(笑)。どこかにある答えを探す必要はなくて、コーチングによって自分の中にある答えに気づく時間が私には必要だったんだなと気づきました。
ママが自分らしく働けるよう、サポートを続けていきたい
―――仕事をする上で、榎本さんが大切にしている価値観や、自分らしいと感じる瞬間について教えてください。
コミュニティの運営も、SNS運用代行の仕事も、「人と深く関わる」という点が共通していて、それが自分には合っていると感じています。一方的に話を聞くより、対話を重ねながら関係をつくっていく方が、性に合っているんですよね。
SNS運用代行の仕事でも、単発で終わる関係より、クライアントさんと長く伴走していく関わり方が好きです。関わる時間が長くなるほど、その方の性格や大切にしていることがわかってきて、仕事もしやすくなっていく。そのプロセス自体が、私にとっては心地いいと感じています。
また、制作を学び始めたママさんにお仕事をお願いすることもあって。その際は、提出された制作物に対して、修正箇所のみをフィードバックすることはしないようにしています。その人なりに考えて、悩んで、形にした背景が必ずあると思うからです。ですので、まずは「どうしてこう作ったのか」「どんな思いで時間をかけたのか」を聞いた上で、改善点をお伝えするようにしています。
クライアントさんとも、一緒に働く方とも、そうやって相手の想いに寄り添いながら、長く関わっていける関係を大切にしたいですね。
――今後のキャリアについて、どのような展望を描いていますか?
地域のコミュニティを軸に、地域のママと、地域に根ざした事業者さんをつなぐようなサポートができたらいいなと思っています。「こういう人を探している」「それならこんなママがいますよ」といったマッチングを、少しずつでも形にしていけたらいいですね。
自分の周りのママと話していて感じるのは、「在宅で働きたいけれど、何をしたらいいかわからない」「自分にはできない」と思ってしまっているママさんが本当に多いということ。私自身も少し前まで同じ状況だったからこそ、「これならできるよ」「こうした関わり方もあるよ」と提案できる存在になりたいと考えています。
ミートキャリアを検討している方へ
――最後に、ミートキャリアの受講を検討している方へメッセージをお願いします。
私も含めて、子育て中のママって「私なんて」と自分を過小評価してしまいがちですよね。でも実際に話を聞いてみると、「いやいや、私から見たらそれはあなたの強みだから活かしたらいいのに!」と思うことがたくさんあるんです。本当にもったいないと感じています。
とはいえ、自分だけで自分の強みややりたいこと、何ができるのかをみつけるのは難しいと思います。そうしたときに、ぜひミートキャリアを頼ってほしいです。
私もコーチングを通して実感していますが、家族やパートナー以外の大人が、1時間まるごと自分の話を聞いてくれる時間は本当に貴重です。そこで初めて、自分でも気づいていなかった価値観や強みが整理され、新しい選択肢がみつかる機会になるのではないかと思います。
もし一歩踏み出したいけれど自信がないと感じている人がいたら、一度立ち止まって、自分と向き合う時間を取ってみてほしいですね。

