「やりたいことを諦めない」4児のママが辿り着いた私らしいキャリアの形【キャリアトレーナー 永井】
4人のママである、キャリアトレーナーの永井(ながい)さん。11年勤めた転職エージェントを辞めフリーランスになったきっかけは、育休明けの配置転換だったと話します。
「ママでも自分のやりたいことを諦めたくない」と語る永井さんに、仕事と子育ての両立の苦労や、キャリア支援者として大事にしている価値観などを伺いました。
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自己紹介
――まずは簡単に自己紹介をお願いします。
昨年、会社員からフリーランスになりました。現在は個人・法人向けのキャリア支援や研修の企画運営などに携わっています。そのうちの1つがミートキャリアで、キャリアトレーナーとしてユーザーさんの自己分析から転職支援まで伴走中です。
これまでの経歴としては、新卒で銀行の法人営業を2年半経験したのち、転職エージェントでキャリアアドバイザーとして11年働きました。その間に4人の子どもを出産し、産休育休を取得しています。子どもは現在、小学5年生と2年生、年長さんと3歳です。
毎日わちゃわちゃ過ごしていますが、フルリモート&やりたいことが仕事と一致しているのでありがたくなんとか自分時間を確保してお仕事をしています。
新卒入社の会社は価値観が合わなかった
――新卒で銀行を選んだ理由を教えてください。
元々は人材業界や人事系の仕事に興味があったものの、リーマン・ショックの影響でどの企業も新卒採用を控えていた時期だったんです。どうしようかなと思ったときに、安定していて、仕事を通して様々な業界に関われる銀行で経験を積めば、将来的なキャリアの選択肢も増えるのではないかと考えて就職先を選びました。
――銀行での仕事はいかがでしたか?
教育体制がしっかり整っていたため、社会人の基礎を一から学べたのは良かったと思います。
ただ、銀行は社会インフラとしての役割を全うするため、個人よりも社会全体に目を向けて働くことが求められるんです。社会の安定を図るためには統一された厳密なルールが必要で、いわば「守り」の姿勢。
しかし私は、一人ひとりに目を向け、その人を起点に社会を見るような仕事がしたいと感じていました。自分の価値観と働く環境のミスマッチを抱えていたんです。
――ご自身の価値観と合わない部分を感じながらも、2年半頑張って働かれたんですね。
本当は入社1年目から転職したかったのですが、当時は「石の上にも三年」という謎の三年神話が根強くて。周りからも「ここを辞めてどうするんだ」「後悔するぞ」と止められました。それに私自身も、入社してすぐに辞めるのは逃げ出すようで嫌だったのかもしれません。
――その後、転職を決意したのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。
入社2年目には結婚していたのですが、私が東京、夫が名古屋に住んでいたため週末婚の状態だったんです。毎週金曜日に名古屋に行って月曜日に東京に戻るという生活を続けることに、次第に疲れてしまって。結婚から半年ほど経ったころに転職を決めました。
――転職活動の様子を教えてください。
当時はリーマン・ショックから数年が経ち、採用活動が活発になっていた時期です。職種は銀行での経験を活かせる経理職と、元々興味があった人材系の仕事を並行して受けていました。
まだ20代半ばで、年齢的に転職先の選択肢が多い状況だったこともあり、とにかくたくさん応募して、選考に進んだ中から選ぶような転職活動でした。最終的には第一志望だった転職エージェントのキャリアアドバイザーとして転職を決めました。
転職後に感じた、法人営業と個人営業のギャップ
――エージェントとして働き始めて、いかがでしたか?
想定通りの部分もあれば、想定よりも大変だった部分もありました。想定通りだったのは、自分がお客様のために動いたことが、そのまま会社の売上に繋がること。自分が進む方向と会社が目指す方向のベクトルが同じだったので、違和感なく働くことができました。
想定よりも大変だったことは2つあって、1つ目は思っていたよりも夜型の仕事だったこと。お客様のお仕事が終わってからエージェントに連絡が入るので、どうしても夜に忙しくなってしまうんですよね。
ただ転職活動の際に私を担当してくれたエージェントさんがママだったので、子育てとの両立はできる仕事だとわかっていました。ですので、思ったよりも夜型だったけれど、もし将来子どもができても両立はできると事前に知れていたのは良かったかもしれません。
――経験者の方に具体的な話を聞いておくと安心できますよね。大変だったことの2つ目も教えてください。
対個人の仕事になるので、仕事を進める上でお客様一人ひとりの感情が大きく影響してくることです。たとえば、こちらから連絡がほしいタイミングもみなさんそれぞれ違います。ある人は困っているタイミングでとりあえず連絡がほしいし、別の人は連絡するからには新しい情報を教えてほしい、など。
一人ひとり望んでいることが違うので、こちらが良かれと思って行動しても、それが全部相手に届くわけではなくて。気持ちが掴めず、お客様が離れてしまったこともありました。
前職は法人営業だったので、転職後も法人相手から個人相手への切り替えが上手くできていなかったのだと思います。最初のうちは、お客様に対して「これはこういうものです。きちんとやらなければなりません」と、感情よりも正論を優先して話してしまっていたかもしれません。
――ほかにも、銀行とエージェントの違いを感じたことはありますか?
銀行はクオリティ重視、エージェントはスピード重視かつマルチタスクを捌く必要があったことです。目の前に広がっている景色が全然違っていたので、これは周りに飲まれるしかない、やり方を変えなければやっていけないと思いました。
とにかく揉みくちゃになりながら頑張って、入社して1年ほど経つころにはなんとか仕事に慣れてきた感覚がありました。
――環境が違う2社を経験されましたが、永井さんはどちらがご自身に合っていると感じますか?
エージェントの方が私には合っていたと思います。私の特性的にも、目の前の一人ひとりに対して価値を提供できて、自分で意思決定しながら臨機応変に動けるような環境がフィットしやすいんです。
それに、自分でやりたいと思って選んだ仕事だったので、「できるようになりたい!」という思いは強かったですね。大変だったけれど、やりがいがあったから頑張れたのだと思います。
子育てと仕事|第3子の育休に入る前の葛藤
――11年間エージェントとして働いた中で、一番印象に残っている時期はいつですか?
第三子を妊娠・出産したころです。産休に入る前は、時短勤務でも挑戦させてもらえる環境の中で毎日忙しく働いていた時期でした。
ただ産休に入り、何年もずっとがむしゃらに走り続けていた状態から急に立ち止まって考えたときに、もう休む前の生活に戻るのは無理だなと思ってしまったんです。
――お休みに入る前は、仕事と子育てをどのように両立していたのですか?
フル出社だったので、「この電車に乗り遅れたらお迎えが間に合わない!」みたいなギリギリの状態で生活していました。子どもが別々の保育園に通っていたときは2つの保育園に順番にお迎えに行かなければならなかったですし、もう自転車操業ですよね。
家に帰ってもスマホで仕事の確認をしてしまったり、子どもにいつも「早くして!」と言って急かしてしまったり。今振り返ると、そのころの記憶が楽しいというより大変だったなんです。
仕事と子育ての両立ができていると言えばできていたけれど、これでいいのかなと思って。お休みに入ってやっと子どもと過ごす時間がとれたことで、これからは今しかない子どもの姿をもっと目に焼き付けたいと思うようになりました。
――第三子の妊娠・出産を機に、今後のキャリアや仕事と家庭とのバランスを見直したんですね。
そうですね。でも三人目を産む前の生活に戻るのは怖かった一方で、仕事は続けたい気持ちがありました。仕事をしない自分は想像できなかったんです。
どうすればいいのか悩む中で、何か自分にできることをみつけたいと思い、育休中にキャリアコンサルタントの資格を取りました。資格を活かしてボランティアでキャリア支援をしたり、ミートキャリアで副業を始めたりしたのがこのときですね。
あとは、育休明けに会社に戻るかどうかを決めるために、社内で募集していた育休中社員を対象としたアルバイトにも応募しました。パートやアルバイトで働いているキャリアアドバイザーの方のサポートをする仕事です。
この仕事を経験したことで、フルリモートであれば会社に戻ってもいいかもしれないと思うようになりました。
――でも最終的には、復職せずに退職を選んだのですね。
第三子の育休と続けて第四子の育休を取ったんです。いざ第四子の育休が明ける時期になって復職面談をしたら、発表された配属はキャリアドバイザーではありませんでした。
育休中にキャリアコンサルタントの資格を取って副業も始めて、さあこれから本業でもカウンセリング業務をさらに頑張ろうと思っていたのに……。そんな中で子供に付き添う必要が出てきたり、副業ではじめたミートキャリアからフリーランスで続けないかとお誘いを受けたりといったタイミングがかさなりフリーランスになろうと決めました。
わたしのキャリア戦略
――現在の永井さんのキャリア観を教えてください。
一番は「諦めたくない」です。ママになったから、パートナーが転勤族だからなどを理由に、自分のやりたいことも諦めたくないんです。
キャリア支援者としても、諦めない人を応援したいです。やりたいことを実現する方法はないのか、どうすればできるのかを一緒に考えていきたいと思っています。
――キャリアトレーナーとして、ユーザーさんをサポートする際に意識していることは何ですか?
ユーザーさんがどう思っているか、ユーザーさんにはどう見えているのかを大事にしたいと思っています。
これまでたくさんの方のカウンセリングを担当していましたが、置かれている環境や価値観が同じ人なんて一人もいませんでした。それなのに、一人ひとり違う悩みを一括りにして「一般的にはこれが正解です」とアドバイスしても意味がないと思うんです。
それで解決できないから、ミートキャリアのような場所に相談にきてくれているんですよね。だから私は、私だったらどうするかといった視点ではなく、その人が見ているものをその人の視点で一緒に見られるトレーナーでありたいと思っています。
――最後に、キャリアトレーナーとしての永井さんのアピールポイントを教えてください!
やりたいことがわからなくても、「何かを変えたい」と思っている人は相談に来てほしいです。これまでの経験や家庭の状況などは一人ひとり全然違うので、それぞれの背景を踏まえてお話ができればと思います。
特に30代、40代ではじめての転職を考えている人は、そもそも転職するかどうかも含めてぜひご相談ください!
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