マミートラックとは何?仕方ないと感じるワーママの心理や脱却方法を解説
出産を経て復帰したのに、描いていたキャリアとは異なる道を走っていることに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
筆者も過去に、仕事と育児が両立しやすいよう業務負担の少ない部署へ育休明けに異動した経験があります。ありがたい反面、仕事に対して物足りなさを感じ、当時は何のために戻ってきたのだろうと思っていました。
マミートラックに乗ってしまい、モチベーション低下や孤独感により悩む女性は少なくありません。本記事ではマミートラックの概要や女性の心理、抜け出す方法を解説します。
マミートラックとは?生じる背景も解説
マミートラックとは子どもを持つ女性が仕事と子育ての両立により、キャリアアップとはほど遠いキャリアコースに乗っていることを意味します。
マミートラックが発生する背景は、以下の通りです。
・共働き世帯の増加
・女性が中心となり家事・育児を実施
・働く女性に対する認識の歪み
・時短勤務による評価の低下
・託児所の不足
総務省統計局が6歳未満の子どもを持つ世帯の1日あたりの家事関連時間を調査したところ、夫は1時間54分、妻は7時間28分という結果でした。家事関連時間の差は年々縮小していますが、依然として女性のほうが家事負担は大きい傾向です。
また、女性の社会進出は広がりを見せているものの、日本の古い慣習により「女性は育児を優先するべき」と考える人もいます。出世コースを離脱し、女性が家庭と仕事を両立するためのコースに乗っている状況がマミートラックです。
参照:総務省統計局|我が国における家事関連時間の男女の差~生活時間からみたジェンダーギャップ
マミートラックは仕方ないと感じる女性の心理
マミートラックに乗りたくない気持ちがある一方で、仕方ないと感じる女性も少なくありません。ここでは、マミートラックにあえて乗る女性の心理を解説します。
家庭と仕事を両立したい
家庭と仕事の両立は難しく、バランスよくこなすのは至難の業です。働く時間が長ければ家にいる時間は減るため、家事はおろそかになります。
また、子どものいる女性が働く場合、起きてから子どもを寝かしつけるまで自分の時間はほとんどありません。仕事と家事、育児とすべてに完璧を求めるほど身体的・精神的に疲労が蓄積されます。
そのため、マミートラックを受け入れ、自分に対するプレッシャーの軽減や家庭円満を望む女性がいるのも現状です。
企業に迷惑をかけたくない
企業に迷惑をかけたくないという理由から、マミートラックに乗るケースもあります。子どもがいる場合、病気や行事により仕事を休みがちです。
急な休みは一緒に働くメンバーに負担をかける要因となり、居心地の悪さを感じる女性も少なくありません。
休んでも支障をきたしにくい業務であれば、ほかの従業員に迷惑がかかりにくいため、自らキャリアアップの道から外れてしまうのです。
制度が整っていない
女性が働きやすい取り組みが行われている一方、制度の整っていない職場も一定数存在します。産休や育休、時短勤務はあってもフレックス制度やリモートワークなど、働き方の選択肢が少ない企業もあるためです。
環境が整備されていなければ仕方なしに受け入れる必要があり、結果として時短勤務を選ばざるを得ません。働き方を選択する余地がないことも、マミートラックにあえて乗る理由となります。
マミートラックを悔しいと感じる女性の心理
マミートラックは、働く女性にさまざまなデメリットをもたらします。なかには、悔しさから離職を考える方もいるでしょう。ここでは、マミートラックに乗るマイナス要素を解説します。
仕事にやりがいを得られなくなる
バリバリ働いていた女性ほどマミートラックを悔しいと感じてしまい、仕事に対する向上心がなくなります。昇進や昇給がない、または数年見込めないとわかればモチベーションが下がるためです。
活き活き働いていた過去の自分を知っているからこそ、現状に歯がゆさを感じてしまいます。
仕事にやりがいを求めている女性ほど何を目標に頑張ればよいのかわからず、働く意欲を失い職場へ行くことすら苦痛に感じてしまうのです。
将来に不安を抱く
マミートラックにより、将来を不安視する女性も一定数存在します。働く時間が短ければ給与や賞与、評価は下がりやすいためです。
時短勤務のため仕方ないとはいえ、収入や賞与の減少は心の余裕まで失う原因となりえます。キャリアを取り戻せる見込みがあるなら問題ないですが、子どもが大きくなるまでの数年は見込めない女性がほとんどです。
キャリアアップできず、収入も下がるとなれば将来性が見いだせず、今の職場でこのまま働いていてよいのかという悩みを持つでしょう。
社内で孤独を感じる
女性によっては、マミートラックによって社内で孤独を感じやすくなります。数年のブランクがある育休明けすぐに仕事モードになることは難しいうえに、時短勤務などで自分の働き方が変わっているのが理由の一つです。
育休中に企業の制度や仕事のスタイルが変わっている場合もあり、慣れない環境に取り残されているような気分に陥りやすくなります。
また、かつて自分の就いていたポジションで後輩が活き活き働く姿を見てしまうと、悔しさを感じるときもあるでしょう。マミートラックによる居づらさから、退職を考える女性がいるのも事実です。
わがままじゃない!マミートラックから抜け出す4つの方法
マミートラックから抜け出したい女性向けに、脱却方法を4つ解説します。仕事と育児を両立したいという願望は、わがままではありません。現状を変えるきっかけを知り、自分らしい働き方を手に入れましょう。
期待以上のパフォーマンスを発揮する
マミートラックから抜け出すためには、決められた時間の中で最大限の成果を上げるのが大切です。仕事に対する意欲が伝われば信頼度が増し、ほかの業務を任される可能性が期待できます。
とはいえ、子どもを持つ女性が業務時間内に期待以上の能力を発揮するには、相応の努力が必要となるため周囲の協力が必要不可欠です。
パートナーと家事関連時間を見直し、女性側の家事負担を減らすといった対策をとるのがポイントとなります。また、頑張りすぎると心身の不調をきたす原因となるため、無理のない業務範囲で取り組むのが重要です。
上司に相談する
働き方について上司に相談するのも、マミートラックを抜け出す方法の一つです。マミートラックによるモチベーション低下の原因には、コミュニケーション不足があります。
相談するときは、以下の点を明確にするのが大切です。
・どのようなキャリアを形成したいのか
・どのような働き方をしたいのか
仕事と家庭を両立できるよう企業側が配慮している場合もあるため、上司と話し合いの場を設けてキャリアアップを目指したい意思を伝えましょう。
制度の整った企業へ転職する
マミートラックに悩む場合、女性が働きやすい制度の整った企業への転職を検討してみましょう。子育て中の女性が活躍できる企業はたくさんあります。
化粧品事業で有名な株式会社資生堂は、社員一人ひとりが仕事と家庭の両立を目指せるよう多様な働き方を整えている企業です。
フレックスタイム制度といった働き方をはじめ、事業所内に保育施設の配置や保育園などに預ける際の補助金、授乳・搾乳スペースの設置などに取り組んでいます。現職にとらわれず、キャリアアップを実現できる企業を探してみるのも手段の一つです。
キャリアカウンセリングに相談する
マミートラックを抜け出すきっかけとして、キャリアカウンセリングを利用するのもおすすめです。キャリアカウンセリングでは、自分にあったキャリアシフトの実現をサポートしてくれます。
マミートラックによる不安や目指すキャリア像といった悩みから、自分にあった働き方の提案をしてくれるのが特徴です。
自分が大事にしたい要素や価値観を踏まえたうえで、より良い環境を手に入れたい方は、キャリアカウンセリングに相談してみてください。
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